借り入れ

親にお金を借りるための説得方法や言いにくいときの対策!贈与税が発生するケースについても解説

親にお金を借りる
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どうしてもお金が必要なとき、ローンに申し込むより親にお金を借りる方がメリットの多いケースもあります。

しかし、「大学生になってアルバイトを始めたのに恥ずかしい」「社会人になったのに情けないと思われるのでは」と躊躇する人も少なくありません。

大人になってから親にお金を借りたいときに、気持ちよくお金を貸してもらうための言い方や伝え方を解説。

親からお金を借りるときに税金対策が必要なケースや、NG行動も紹介します。

親にお金を借りる時に意識するポイント

親にお金を借りるなら、誠意が伝わる言い方のコツを押さえる必要があります。

「かしこまりたくない」「子どものピンチは助けるに決まっている」といった態度では、親は気持ちよく貸せません。

  • 何に使うためにいくら必要なのか
  • 借りられないとどうなるのか
  • 誰が見ても実現可能な返済計画を立てているか

上記3つのポイントを明確にした上で、親にお金を借りたいと頼みましょう。

正当な理由があれば親も納得しやすく、借りられる可能性が高まります。

お金を借りたい具体的な理由について分かりやすく伝える

お金を借りたい理由は、親に分かりやすいようはっきり伝えましょう。

話をする前に以下の点について整理しておくと、具体的に伝わりやすいです。

  • 何に使うお金なのか
  • なぜ必要なのか
  • いくら必要なのか、その金額になる理由
  • 親に借りる理由

車の買い替えと生活費の不足を例として、ポイントの伝え方を説明します。

車の買い替えの場合

項目 具体的な内容の例
何に 新しい車を買いたい。
なぜ 車検に出したらエンジンの載せ替えが必要と言われた。古い車の修理に多額の費用をかけるなら、新しい車に買い換えたい。
いくら 新しい車の購入代金250万円のうち、150万円は出せる。100万円足りないので借りたい。
親に借りる理由 マイカーローンに申し込んでみたら審査の結果金利が高かったので、少しでも利息を節約したい。

生活費不足の場合

項目 具体的な内容の例
何に 給料日まで10日もあるのにお金がない。生活費を借りたい。
なぜ 友達と旅行に行ってお金を使い過ぎ、クレジットカードも限度額まで使ってしまった。
いくら 生活費10日分で5万円借りたい。
親に借りる理由 カードローンに申し込むのも考えたが、借り過ぎてしまいそうで怖い。

ただ車を買いたいから、生活費が足りないからでは説得力も誠意も欠けます。

お金が必要になった経緯と金額を具体的に説明できると、親も事情があって頼んでいると感じやすいです。

「車を買いたい」と伝えるよりも、「今の車を使い続けるには費用がかかるから買い換えたい」と言う方が、正当性が感じられます。

借りたい金額を明確に伝えず、「いくらなら貸してくれる?」と親に考えさせるのは印象がよくありません。

必要な金額も把握できておらず、無計画に借りたがっているイメージを与える可能性もあります。

親が気持ちよくお金を貸せるよう、お金が必要な理由から借りたい金額まで、分かりやすく伝えましょう。

親から借りられないとどうなるのか説明する

親から借りられないとどうなるのかも説明が必要です。

世の中には、成人している人がお金を借りる方法はいくつもあります。

方法があるにもかかわらず親から借りるなら、以下の点を明確にしなければいけません。

  • 他の方法を選べない事情がある
  • 借りられなかったときは生活に影響がある

借りられないと困る、損をするといった内容に具体性を持たせてください。

    借りられないときの説明例

  • 消費者金融のカードローンしか他に手段がなく、金利が18.0%もかかってしまう
  • ローンに申し込んだけど審査に落ちてしまい、食べるのにも困る
  • 収入が得られるのは3か月あとで、ローンで借りても返せず督促状が届きそう

「借りられないと人生終わり」のように、抽象的で大げさな表現では、冗談に聞こえて心に響きません。

本当に困っていることが伝わるよう、分かりやすく現実的な内容で説明しましょう。

例えばカードローンの金利が18.0%で、生活費5万円を借りたら1年で利息が5,000円程度かかると説明すれば、負担をイメージしやすいです。

親としては、金利の高いローンでお金を借りてほしくはありません。

負担を軽減するためなら、一時的に貸そうと思ってもらえる可能性があります。

督促状が届いたり、生活に困窮したりするのも望んでいないはずです。

他に頼る人がいないことも伝え、情に訴えてみましょう。

いつまでにどうやって返済するのかを明確にする

親に誠意を見せてお金を借りるには、返済計画を明確にしましょう。

「出世払いで」「3年以内に返す」など、あいまいな計画では返済しないだろうと受け取られます。

実現可能で親が損しないよう、具体的に返済計画を立てるのが重要です。

  • 確実に返済に充てられる資金があるか
  • 返済回数と期間はどうするか

上記2点を明確にすれば、親もしっかり返済してもらえると安心できます。

    返済計画例
    借りる金額:100万円

  • 毎月、給料から2万円を振り込みで返済
  • 返済開始は来月から
  • 4年2か月(50か月)で完済

給料が入ったらすぐ返すことを徹底すれば、着実に返済が進むため好印象です。

毎月の返済額は、生活への影響が最小限で済む金額に抑えましょう。

無理な返済計画は、約束を破ることにつながります。

収入を得られるのが先なら、いつから返済を始められるのかも明確にしてください。

「初任給が入ってから」「次のボーナスで一括返済する」など、返済できる目安が必要です。

親から「いつ返すつもり?」と聞かれる前に、自分から返済計画まで説明すると誠意が伝わります。

親にお金を借りるときは納得してもらえる理由を伝えよう

親にお金を借りるとき、どうしても言いにくい理由があるなら納得してもらいやすい言い訳を使いましょう。

借りる目的は正直に伝えるべきですが、お金がない理由を説明するのは案外難しく感じます。

言いにくい場合は、一般的に受け入れられやすい理由や言い訳を参考にしましょう。

親に通用しやすい言い訳は、立場や職業によって違います。

  • 社会人
  • 一人暮らし
  • 学生(大学生、院生、専門学校生など)

社会人で収入を得ている人は、収入を得ているにもかかわらず借りなければいけない理由を明確にした上で、できるだけ直接会って頼みましょう。

実家から離れて一人暮らしをしている人は、借りる理由を伝えやすいです。

学生なら、学業や就活に関する理由なら理解が得られます。

社会人は言いにくくても直接会ってお願いする

社会人で親にお金を借りるときは緊急度が伝わるよう、なるべく直接会ってお願いしましょう。

収入を得て自立できる立場なので、お金を借りるには納得できる理由が必要です。

お金を借りる理由・お金がない理由の例

  • 友人の結婚が続いてご祝儀貧乏になっている
  • 車の車検が予想より高額でお金がなくなった
  • 歯科矯正、視力矯正をしたい
  • 子どもの入学準備にお金が足りない
  • 財布を落としてクレジットカードもキャッシュカードもない
  • 転職で仕事を辞めたので健康保険料が高額で払えない
  • バイトのシフトが減り、生活費を捻出できない

お金を借りる理由は大きく4つに分けられます。

  • 臨時の出費が続いてお金がない
  • 手元にあるお金では工面しきれない大きな出費を予定している
  • 突発的で緊急の事情でお金がない
  • 収入が減った

重なると痛い出費になるご祝儀や車関係の出費は、社会人のお金がない理由として納得しやすいです。

子どもの入学準備費用や自由診療の医療費は高額になりがちで、親も分かってくれる可能性があります。

借り入れの成功例
「通勤に必要な車を買うため、ローンを組む頭金を借りたい」という理由で、社会人の妹が30万円くらいお金を借りていました。
ボーナスが出たときに一括返済する約束でしたが、ボーナスが少なかったため払える分だけ支払い、残りは毎月少しずつ返済しています。

返済が前提なら、恥ずかしがらず正直に事情を説明しましょう。

財布の盗難や紛失など、緊急の場合は迷わず親を頼って問題ありません。

収入減でお金を借りたいなら早い方が頼みやすい

収入減で生活費が足りないときは、高金利なローンに頼り過ぎると家計の悪化を招きかねません。

言いにくいかもしれませんが、早めに頼んで親にお金を借りましょう。

返済が手に負えなくなってからでは、生活の立て直しが余計に難しいです。

親に頼むときは、今後の収入の改善見通しも説明して最小限だけ借りましょう。

出費の多い一人暮らしは親にお金を借りる理由を探しやすい

親元から離れて一人暮らしをしている人は、なにかと生活費がかかるためお金を借りる理由は探しやすいです。

    お金を借りる理由・お金がない理由の例

  • 冷蔵庫や洗濯機など、生活家電が立て続けに故障してお金がない
  • 暑くて冷房を使い過ぎたら電気代が高額になってしまった
  • 引っ越し代が高額なのでお金を貸してほしい
  • 旅行に行きたいのに費用が少し足りない

最近は物価や光熱費が以前より高くなっており、お金が足りなくなる事情も理解できます。

「お金を計画的に利用しているけど今回は足りずに借りたい」といったニュアンスを出せると、心配をかけません。

イレギュラーでお金を借りるなら、親が呆れることもないでしょう。

遊ぶお金を借りたいなら1回に留める

旅行など遊ぶ費用を借りたいと頼むのは、1回のみに留めてください。

何回も貸してほしいと頼むと、お金の使い方に疑問を持たれて貸してもらえなくなります。

借りる金額も、必要な費用全額ではなく一部だけに留めるのがポイント。

旅行代金なら、全費用のうち自分が出せる金額を伝え、どうしても足りない分を今回だけ借りたいとお願いしましょう。

大学生は生活費や学校関連の急な出費は理解を得られやすい

大学生は、どうしても必要な生活費や学校関連の出費なら借りやすいです。

アルバイトで稼ぐにも限界があるため、借りたお金を返すのであれば嫌な顔はされないでしょう。

    お金を借りる理由・お金がない理由の例

  • 試験前でバイトに入れず生活費が足りない
  • 部活の合宿や遠征費がかさんでお金がなくなってしまった
  • 就職活動の交通費を借りたい
  • 自動車免許の取得費用を借りたい
  • 留学したい
  • 卒業旅行に行きたい

大学生は、試験前や就活シーズンになるとアルバイトのシフトに入りにくく金欠になりやすいです。

部活やサークルに入っている人は、合宿や遠征のほか用具を揃えるのにお金がかかるケースもあります。

免許取得や留学は高額になりがちなので、親とよく相談して決めましょう。

親が難色を示したら、免許は自動車ローン、留学費用は奨学金でも借りられます。

遊びに使うお金も借りられる?

遊びのお金は、卒業旅行のように大きなイベントなら目的を正直に伝えましょう。

限られた時期しか体験できない遊びなら、理解を得られる可能性が高いです。

イベント性が少ない日常的な遊びなら、お金がない理由を伝えて理解を求めましょう。

  • 一時的にバイトに入れずお金が足りない
  • 学校でお金がかかった分遊びに回せなくなった

学生ローンをはじめとした消費者金融も利用できますが、内緒で借りてあとからバレる方が親の心証は悪いです。

大半の親は、大学生のうちから消費者金融を利用するのではなく親を頼ってほしいと考えています。

急な出費やバイトのシフト減といった事情があれば理解を得やすいので、まずはお金が足りないと相談しましょう。

親からお金を借りるときのNG行動は?

親からお金を借りるとき、やってはいけない行動が4つあります。

  • 顔を合わさず一方的に要求だけ伝える
  • ギャンブル、投資目的で借りる
  • 返済しない
  • 嘘をついてお金を借りる

お金を借りたいとお願いするのは、できれば直接会った方がいいです。

しかし、遠方に住んでいるとLINEや電話しか手段がないケースもあります。

直接会えないときは事情を分かってもらえるよう、丁寧に頼みましょう。

借りる目的がギャンブルや投資だと、返済できなくなり借り入れを重ねるリスクが高いです。

返済すると言って返さない、嘘の理由で借りるといった対応をすれば、今後の関係にヒビが入ります。

不誠実な行動は避けて、関係性の悪化を防ぎましょう。

LINEで相談するなら丁寧な文章で具体的な希望を伝える

直接会うのが難しくLINEで相談するなら、短文で済まそうとせず具体的な希望を伝えましょう。

相手の顔が見えない状態のときは気持ちが伝わりにくいため、丁寧な対応が必要です。

LINEでお金を借りたいと頼むなら、以下の内容を盛り込んでください。

  • 本当は直接お願いすべきだが、都合が悪くLINEで連絡することへの謝罪
  • 今お金がない理由について
  • 何にいくら使うためにお金を借りたいのか
  • いつまでにどうやって返済するのか
  • 状況的に親しか頼れない

文面だけでお金を借りるには、状況を細かく説明して信用を得なければいけません。

NGなのは、いつものLINEでのやり取りのように短文で済ますこと。

「ちょっとお願いがあるんだけどお金貸して」では、不審な印象しか持たれません。

以下の例のように、丁寧な文章を心がけましょう。

本当は直接言うべきだけど、帰省できないからLINEでごめんなさい。
実は3万円、お金を貸してほしいです。
試験期間でバイトに入れなかったのに、今度サークルで遠征があって。
泊まりで行くから、交通費と宿泊代が必要です。
試験と遠征が終わったらバイトに入れるから、来月の25日から毎月1万円ずつ返します。
友達には頼めないし、ローンで借りるのは不安だから、貸してもらえないかな。

カジュアルに使えるLINEだからこそ、お金を借りたいときは丁寧な頼み方を徹底しましょう。

ギャンブルや投資目的では借りない

お金を借りる理由がギャンブルや投資なら、親にお金を借りるのではなく自分で工面しましょう。

正直に目的を話してお金を貸してほしいと言っても、一般的な考えを持つ親なら断ります。

「借りたお金で一発当てて倍にして返す」など、不確定な収入をもとに返済を約束すると、お金が得られなかったときに返済できません。

お金が得られなければ借りたお金を返済できず、借り逃げにつながります。

投資は資産活用に有効な手段ですが、お金を借りてまで行うものではありません。

誰かに勧誘されて、手持ちが足りなければ借りればいいとアドバイスされたのなら、相手は悪徳業者です。

親に頼む前に、一度冷静になって本当に借りる必要があるのかよく考えましょう。

情けないと思われたくないなら誠実に返済を続けるのが重要

親からお金を借りて情けないと思われるのは、約束した返済をやめたときです。

返すと約束したものは、当初の予定通りに返済し続けましょう。

給料から毎月いくら出せるのか、借りる前にシミュレーションして実現できる返済計画を立ててください。

お金関係の約束がいい加減な人は、相手が親でも簡単に信用を失います。

お金以外の援助も受けられなくなる可能性があるため、予定通りきっちり完済を目指しましょう。

嘘をつくとバレるだけでなく関係悪化につながる

嘘をついてお金を借りても、以下のようなきっかけからどこかで必ずバレます。

  • 親同士の噂話
  • SNS
  • ついポロっと言ってしまう

お金に関することで嘘をつくと、信用されなくなり関係悪化の可能性が高いです。

親にお金を借りたいと伝える際に絶対についてはいけない嘘は、以下の2つ。

  • 事故に遭った、病気になったなど命に関わること
  • 詐欺など犯罪に関わること

どちらの理由でも親は非常に心配し、急いでお金を工面してくれる可能性が高いです。

しかし、本当は嘘だったとなると怒るだけでは済まないでしょう。

同じことを友人や知人にしたら、お金をだまし取ったとして詐欺罪に問われる可能性もあります。

お金を借りる理由は、言いにくい理由でも正直に話しましょう。

親から借りる金額次第では贈与税が発生するケースもある

親からお金を借りるだけなのに、金額次第では贈与税が発生するケースもあります。

贈与税の課税対象となるのは、110万円以上のお金を借りたときで、金額ごとに以下の税率で贈与税が課されます。

特例贈与財産の贈与税率

贈与税の対象金額 税率 控除額
~110万円 なし
110万円超200万円 10%
200万円超400万円以下 15% 10万円
400万円超600万円以下 20% 30万円
600万円超1,000万円以下 30% 90万円

※18歳以上の人が親から財産をもらうときに適用
参照元:国税庁

贈与税を課されないためには、もらったお金ではなく借りたお金だとの証明が必要です。

しかし、住宅取得や子育てなど、一部目的では1,000万円以上を親から借りても贈与税の対象にはなりません。

もし返済せずに親が亡くなってしまうと、相続税についても考慮が必要です。

予期せぬ支払いを避けるために、支払う可能性がある税金について知っておきましょう。

借りる金額が年間で110万円以内なら贈与税対策は必要なし

贈与税は、親から借りる金額が年間110万円以内であれば特に対策は必要ありません。

国税庁の定めたルールにより、110万円までは税金がかからないと決められています。

計算期間は毎年1月1日から12月31日までの間で、財産をもらったときに発生します。

借入金は本来贈与にあたりませんが、お金の動きだけを見るともらった財産だと疑われやすいです。

注意が必要なのは、財産とはお金に限らない点。

お金を借りる以外に以下のものをもらい、合算して110万円以上になれば、贈与税の対象となります。

  • 生活必需品ではない車(高級外車など)
  • 高級ブランド品
  • 株券や証券の購入資金
  • 不動産

お金以外の財産について、日常生活に必要なもの以外は贈与税の対象です。

借りた金額が110万円に満たなくても、上記のものを親からもらった人は合算して対策が必要か確認しましょう。

年間110万円以上借りたら贈与だと疑われないよう対策する

年間110万円以上借りていたら、贈与税対策が必要なケースもあります。

以下の方法を組み合わせて、誰が見ても借りたお金だと分かる状態にしましょう。

  • 借用書を作る
  • 金利を設定する
  • 銀行振込で返済する

借用書があれば、お金の貸し借りがあると客観的に判断できます。

銀行振込で返済すれば、確かに返済しているからもらったお金ではないとの主張も可能です。

借用書を作成して借りたお金であると証明する

借用書は、お金を借りた事実や貸付条件を記載した書類です。

書式に正式な決まりはありませんが、最低でも以下の項目を作成・記入しましょう。

  • 借りる人(自分)の名前
  • 貸す人(親)の名前
  • お金を借りた日
  • 借りた金額
  • 返済計画

借用書は贈与税対策と合わせて、思い違いからくる金銭トラブルの予防にもなります。

借りたお金は確かに返すとの意思表示にもなるため、借入額に関わらず作成するのがおすすめです。

借用書は、お金を借りる人が作成して持参するのが一般的。

手書きできるほか、書類として形式を整えたい人はネット上にあるテンプレートも利用できます。

できれば自分用と親用の2部用意して、贈与税対策とトラブル予防に役立てましょう。

わずかでも金利を設定してお金を借りる

金利の設定がないと、もらったのと同じだと判断される可能性があります。

無利子は親から借りるメリットの1つですが、110万円以上借りるなら有利子にしましょう。

例えば年利を1.0%に設定すると、1年間で借りた金額の1.0%だけ利息が発生します。

有利子にはなるものの、銀行や消費者金融で借りるより大幅に利息を抑えられます。

種類 金利(年) 200万円借りたときの1年分の利息
銀行のフリーローン 5.0%前後 54,600円程度
銀行カードローン ~14.5%程度 160,500円程度
消費者金融カードローン 100万円未満:~18.0%
100万円以上:~15.0%
166,200円程度

低金利で借りられるケースが多い銀行フリーローンと比較しても、3万円以上利息の節約が可能です。

利息はお金を貸してくれた親への謝礼にもなるので、金利を設定するなら借用書にも記入しましょう。

定期的に親の銀行口座に入金して返済履歴を残す

借りたお金だと証明するには、銀行口座に入金して返済履歴を残すのも有効です。

借りたお金を銀行口座に入金し、返済は手渡しだと第三者からは贈与だとみなされます。

銀行振込で借りたのなら、必ず返済も銀行振込で行いましょう。

税務署は個人の銀行口座の取引履歴を確認できる

税務署は、脱税の調査のために個人の銀行口座や取引履歴を確認できます。

取引履歴と納税状況から怪しいと判断されれば、税務調査が入る可能性も高いです。

調査されたとき、銀行口座に返済して証拠を残しておくと疑いが晴れます。

振込手数料が節約できる方法を選んで、積極的に振り込みを利用してください。

例えば三井住友銀行の振込手数料は、以下の通りです。

振込方法 三井住友銀行の別支店あて 他行あて
3万円未満 3万円以上 3万円未満 3万円以上
SMBCダイレクト 無料 無料 165円 330円
ATM(キャッシュカード) 110円 110円 165円 330円
ATM(現金) 220円 440円 385円 550円
窓口 330円 550円 605円 770円
定額自動送金 110円 330円 385円 550円

同じ三井住友銀行宛なら、他行あてよりも手数料が抑えられます。

振り込み方法では、SMBCダイレクトまたはATMからキャッシュカードで入金すると手数料が低額です。

インターネットバンキングの振込手数料は、同じ銀行宛なら支店が違っても無料のケースが多く、他行あてでも手数料を抑えられます。

手数料は銀行によって異なるため、普段自分が利用している銀行と親が使っている銀行を確認して、手数料を比較しましょう。

完済前に親が亡くなると生前贈与とみなされて相続税の対象となる

完済する前に親が亡くなると、生前に贈与された財産とみなされて相続税の対象となります。

相続税が課税されるかどうかは、親が残した遺産総額と法定相続人の人数によります。

相続税非課税金額:3,000万円+600万円×法定相続人

法定相続人が両親のどちらかと自分、きょうだい1人の合計3人の場合、相続税が非課税になるのは4,800万円までです。

上記のケースで遺産総額が4,800万円以内なら、親から借りて返せなかったお金に相続税は課税されません。

非課税額を超えた遺産があるなら、いくらずつ相続するかによって一人ひとりが支払う相続税も異なります。

相続税の課税対象外でも、あとで相続トラブルにならないようお金を借りたことは他の相続人に伝えましょう。

多額のお金を借りても目的次第では贈与税がかからない

年間110万円以上のお金を借りても、目的を限定すれば贈与税非課税となります。

  • 結婚や子育てに関するお金
  • 子どもの教育資金
  • 住宅取得
  • 扶養されている人の生活に必要なお金

非課税対象とするには、それぞれの制度に沿った以下のような手続きが必要です。

  • 確定申告を行う
  • 金融機関を通してお金のやりとりをする

所定の手順を踏む必要があるため、お金を借りる前に制度内容をよく確認しましょう。

お金を借りる本人が親の扶養に入っているなら、生活に必要な費用については全額非課税です。

結婚や子育てに関するお金は1,000万円まで非課税

結婚や子育てに関する資金は、1,000万円までなら贈与税を非課税にできます。

利用する制度は、「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」です。

お金を借りるときに同制度を利用するなら、以下の条件を満たす必要があります。

制度適用期間 令和7年3月31日
お金を受け取る人の年齢条件 18歳以上50歳未満
非課税限度額 1,000万円まで
※結婚するときの贈与は300万円まで
必要なもの 資金を支払ったとする領収書
必要なこと 結婚・子育て資金口座の開設
結婚・子育て資金非課税申告書の提出

まずは金融機関で結婚・子育て資金口座の開設が必要です。

続いて口座を開設した金融機関に、お金を預ける日にちなどを記入した結婚・子育て資金非課税申告書を提出します。

借りたお金は、開設した口座に預けるのが前提の制度です。

具体的に非課税にできる利用目的は以下の通り。

費用 具体例
結婚に関する費用
※300万円まで
  • 挙式費用全般
  • 家賃や敷金など新居への入居費用
子育てに関する費用
  • 不妊治療
  • 妊婦検診
  • 分娩・産後ケア
  • 子どもの医療費
  • 子どもの保育料

主に結婚から子どもの乳幼児期までにかかる費用が対象です。

口座に入れたお金から必要な費用を支払ったあと、金融機関に領収書を提出します。

口座の残金が0エンになれば、契約は終了で税務署への申告も必要ないので、契約の終了手続きのみ金融機関で行いましょう。

子どもの教育資金を親から借りるときは1,500万円まで非課税にできる

まとまった金額が必要になるケースが多い教育資金は、1,500万円まで非課税にできます。

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」という制度で、利用条件は以下の通りです。

制度適用期間 令和8年3月31日
お金を受け取る人の年齢条件 30歳未満
非課税限度額 1,500万円まで
※学校以外の用途は500万円まで
必要なもの 資金を支払ったとする領収書
必要なこと 教育資金口座の開設
教育資金非課税申告書の提出

借りたお金を入金するための教育資金口座の開設や、申告書の提出が必要です。

教育資金として認められる用途は幅広く、スポーツや学習塾の費用にも利用できます。

お金 具体例
学校に支払うお金
  • 入学試験費用
  • 入学金
  • 授業料
  • 入園料・保育料
  • 学用品の購入費
  • 修学旅行費
  • 学校給食費
学校以外に支払うお金
※500万円まで
  • 学習塾
  • そろばんやピアノ
  • 水泳などスポーツ系の習い事
  • 留学費用

子どもの教育資金を借りたい人は、面倒でも口座を開設して、制度を活用しましょう。

住宅取得のためのお金は省エネ性能や耐震等級で非課税額が変わる

家を建てる、マンションを購入するなどの住宅取得は、最大1,000万円まで非課税にできます。

結婚・子育てや教育資金と大きく異なり、専用の金融機関口座の開設は必要ありませんが、税務署に複数の書類を提出します。

制度適用期間 令和5年12月31日まで
お金を受け取る人の条件 18歳以上
合計所得金額2,000万円以下
※床面積が40~50平方メートル未満なら1,000万円以下
非課税限度額 省エネ等住宅は1,000万円、それ以外は500万円まで
必要なもの 贈与税の申告書
戸籍謄本
契約書の写しなど
必要なこと お金を借りた年の翌年2月1日から3月15日までの間に税務署に申告

省エネ等住宅とは、以下一定の基準のいずれかを満たす住宅です。

① 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること。

② 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること。

③ 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること。

引用元:国税庁

提出する申告書には、非課税の特例の適用を受けると記載する必要があります。

借りる相手が親だからといって、自動的に適用される制度ではありません。

申告期間は、2月1日から1か月半程度と確定申告期間とかぶります。

確定申告時期の税務署は混みあうため、e-taxを使った電子申告も活用しましょう。

扶養が必要な親族への生活費や医療費は贈与税の対象外

110万円以上借りても相続税の対象外となるのは、親に扶養される立場の人です。

主に学生や初任給をもらう前の新社会人が該当します。

扶養される立場の人は、以下の借入目的なら年間110万円を超えても全額非課税です。

親の扶養を受けている人が非課税となる借入目的の例

  • 食費
  • 家賃
  • 光熱費
  • 学費
  • 教材費
  • 通学費

扶養される立場ではない人や、上記以外の目的の借り入れをするなら、以下の贈与税対策を行いましょう。

  • 借りる金額を年間110万円以内にする
  • 借用書を作る
  • 銀行振込で返済履歴を残す

200万円必要なら、2年に分けて100万円ずつ借りれば贈与税の対象になりません。

借用書や銀行振込で、返済が必要な借入金だとアピールするのも有効です。

お金を借りただけで余計な出費を発生させないよう、対策を徹底しましょう。

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