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2016.09.01
サファイア


 9月の誕生石はサファイヤです。宝石に詳しくない方でもサファイアは聞いたことがあるのではないでしょうか。色は薄いブルーから濃いブルーまであり、ピンク、イエロー、オレンジ、グリーンなどがあります。石言葉は「高潔、慈愛、誠実、徳望、魂を慰める、憎悪感の暖和」などですが、ブルーサファイアは「幸運、天命」、イエローサファイアは「自身、目標達成、集中力」など色によっても石言葉があるようです。

 

 サファイアは、コランダム(鋼玉)の変種で、ダイヤモンドに次ぐ硬度。赤色以外は全てサファイアで、なんと濃赤色を呈するものはルビー になるそうです。サファイアの語源はラテン語で「青色」を意味する「サフィルス」 (sapphirus)やギリシャ語の「サフィロス」(sappheiros) に由来します。
 青玉(蒼玉)という和名の通り濃紺や青紫色のものが一般的で、かつて青色のサファイアは油絵に使われる青の顔料でした。光を当てた時に反射光が六条に生ずるものが『スターサファイア』と呼ばれ貴重で珍重されるとのこと。これはサファイアの中に針状のインクルージョン(多くの場合は二酸化チタンであるルチル)が含まれ、単一光源の下で6放射の星型の輝きを生じるためであり、スターサファイアの価値はカラットだけでなく地色の美しさや星型の輝きの強さなどにもよるようです。

 サファイアの色は簡単に言うとチタンと鉄から生じるため、これらの元素が石に入っていると500~1800℃程度で数時間加熱することにより化学変化が起き、濃いブルーに変化します。このことを加熱処理と言い、基本的には色が薄かったり透明度の低い場合や逆に濃すぎるなど宝石としては使用出来ない物が多かったため、1980年代後半から加熱処理された物が一般化され多く出回っているようです。未処理でも美しいサファイアは宝石用の全体から見ても1%くらいしかなく、全く加熱されていない非加熱サファイアは産地にもよるが価格は10倍近く違ってくるそうです。
 産地は様々で、最高峰の『コーンフラワーブルー』(本来、コーンフラワーブルーはカシミールサファイアしか名乗れない)の出産地として知られるのがインドのカシミール地方です。ビルマ産の深い青色のサファイアは『ロイヤルブルー』と呼ばれ(本来、ロイヤルブルーに関してはビルマ産のサファイアだけの名称であり、その他の産地で出て来てもロイヤルブルーとは名乗れない)、濃いブルーが特徴で、透明度がある場合は最高級の評価が付くようです。ともに加熱処理が行われていない天然サファイアが多いのが特徴。しかし現在は両国とも皆無と言っていいほど産出されていないとのこと。スリランカ産のサファイアはギウダという薄いベージュのサファイアの原石に加熱が施されているものが多く、近年では鑑定書にはこれをエンハンスメントとして謳われており、ギウダも世界的にブルーサファイアとして認定されました。ここ数年産出されるようになったマダガスカルは、カシミール産のAクラスに良く似た特徴を持ち、スリランカを凌ぐ特級品も産出されています。タイやオーストラリア産はブルーが黒過ぎるのが特徴でアクセサリーなど安価なものに使用され、下位にランクされています。他にもブラジル、ウルグアイ、アメリカ、サウジアラビア、トルコ、南アフリカ、中国、ドイツ、カンボジアなどで採掘されるが、産地により色の濃淡が異なり色の良し悪しによって価格が上下します。

 

 次に歴史についてですが、サファイアは東洋から古代のヨーロッパに伝わったと言われています。ローマの時代以降にはインドとの交易が盛んになり、サファイアについての信仰も中世にかけて広まりました。哲学者、聖人の石と言われ、神の恩寵を受け精神の再生をもたらすと信じられたサファイアは聖職者にふさわしい石と考えられ、キリスト教では中世から司教の叙任のしるしとしてサファイアが付けられた枢機卿や指輪が与えられ、人差指にはめるならわしがあったそうです。その指輪をした手で信者に触れることは、誠実や慈悲を与え、病を癒し、人々を悩みから救うことを意味し、サファイアが清らかさと神の王国の輝かしい力を表しているため、キリスト教徒は聖母マリアを象徴するものだと考えられていたとのこと。かつてのローマ法皇シクストゥス四世が亡くなった時に、彼が愛した300カラットのサファイアの指輪は、彼の指から外すことなく、そのまま葬られたそうです。300カラット!一度でいいので見てみたいです。

 10月の誕生石はオパールです。とても幻想的な宝石ですね。乞うご期待。

(コラム*ミーアキャット)

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