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2014.07.29
日本三景


 皆さんは7月21日が日本三景の日とされているのをご存知ですか?私は出身地が宮城ということで、日本三景の一つである松島には馴染みがありますが他の2箇所についての知識は名前位しか知りませんでした。今回は日本三景について調べてみたので紹介したいと思います。

 まず、日本三景とはどのようなものでしょうか。これは、江戸時代のはじめに全国を行脚した儒学者である林春斎(はやし しゅんさい)が「日本国事跡考(にほんこくじせきこう)」において、 卓越した三つの景観とした名勝地(景色の良い土地)のことを指します。松島(宮城県宮城郡松島町を中心とした多島海)、天橋立 (京都府宮津市にある砂嘴)、宮島(厳島、広島県廿日市市にある厳島神社を中心とした島)が日本三景として選定されています。日本三景を雪月花にあてる場合、「雪」は天橋立、「月」は松島、「花」は紅葉を花に見立てて宮島をあてているそうです。雪月花とは月の明るい折に、雪と花をあわせたものを提示するという遊戯的な設定を和歌の題材としたもので、現代では伝統的な日本の美の感覚を連想させる語として用いられています。ちなみに、日本三景の日が7月21日とされたのは、林春斎の誕生日がグレゴリオ暦1618年7月21日だということに起因し、2006年に行われた日本三景観光連絡協議会の総会で制定されました。

 

 次に、日本三景各所の特徴などを紹介します。
 松島は、宮城県の松島湾内外にある大小260余りの諸島と湾周囲を囲む松島丘陵も含めた修景地区を指します。国宝に指定されている瑞巌寺や、国重要文化財に指定されている五大堂などが観光スポットとされています。雪月花の月に称されているように、松島の月景色は特に素晴らしい景色です。多くの小島は上部に松などが植生し、海面に近い基部は白から灰白色の岩肌を見せているのも特徴の一つです。仙台平野を南北に分ける松島丘陵の東端が海にまで達し、それが沈水して出来たリアス式海岸がさらに進んだ沈降地形で、溺れ谷に海水が入り込み山頂が島として残ったものが松島です。全体として松島湾(広義)を形成し、湾内の水深は10メートル以内となっています。大部分の地層は第三紀層の凝灰岩、砂岩、礫岩など侵食に非常に脆い岩質で出来ているため、波に洗われる部分は容易に侵食されてしまいます。侵食、風化作用を受けやすい地層の上に松島は成り立っているため、長い間に風景も少しずつ変化してきたと考えられ、過去の文献に記載されたものと現在のものとは微妙な違いがあると考えられているそうです。五大堂が設置されている島も海水面近くが侵食されており、将来が危ぶまれているそうです。

 

 天橋立は、京都府の宮津湾と内海の阿蘇海を南北に隔て、全長3.6キロメートル及ぶ湾口砂州を指します。 砂嘴の幅は20メートルから最長170メートルに達し公路となっています。日本では、外洋に面さない湾内の砂州としては唯一のもので、その一帯には約8,000本の松林が生えており、東側には白い砂浜が広がっています。風土記(丹後国風土記逸文)では、伊射奈芸命(いざなぎのみこと)が天に通うために梯子を作って立てたため「天の橋立」と言われましたが、寝ている間にその梯子は倒れてしまい現在の姿になったとされています。
 どこから眺めるかによって景観に名前がついていて、北側の傘松公園からの天橋立の眺めは斜め一文字と呼ばれます。これは名前のとおり斜め一文字に見える景観からその名がついたそうです。文珠山の山頂にある天橋立ビューランドから見る南側からの眺めは飛龍観と呼ばれ、龍が天に登る姿に見えることからその名前がつきました。西側の大内峠一字観公園からの天橋立の眺めは一字観と呼ばれ、天橋立が横一文字に見える景観からそのように呼ばれています。東側からの天橋立の眺めは雪舟観と呼ばれ、雪舟筆「天橋立図」が描かれたことが名前の由来となっています。
 砂州の侵食や松食い虫の大量発生、流木の漂着などが問題視されています。

 

 宮島は広島県廿日市市にある厳島神社を中心とした島です。海上に浮かぶ朱の大鳥居と社殿で知られる厳島神社は、平安時代末期に平清盛が厚く庇護したことで大きく発展しました。現在は本殿・幣殿・拝殿・廻廊(いずれも国宝)などの他にも、主要な建造物はすべて国宝または国の重要文化財に指定されています。建造物だけではなく、皇族・貴族や武将、商人たちが奉納した美術工芸品・武具類にも貴重なものが多く、中でも清盛が奉納した「平家納経」は日本美術史上特筆すべき作品の一つと言われています。厳島神社および弥山(みせん)原始林は、日本のみではなく世界的にも評価されており、1996年にユネスコの世界遺産に登録されています。また、海岸の一部は2012年(平成24年)7月3日、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)に登録されました。宮島は、古代から島そのものが自然崇拝の対象だったとされ、平安時代末期以降は厳島神社の影響力の強さや海上交通の拠点としての重要性から度々歴史の表舞台にも登場しています。江戸時代中期からは、日本屈指の観光地として栄えており、現在も国内外から年間300万人を超える参拝客及び観光客が訪れているそうです。

 日本三景について、名前は知っていても詳しくは知りませんでした。知ると実際に行って見てみたくなるのは私だけでしょうか。皆さんも機会があれば是非行ってみてくださいね。

 (コラム*カワセミ)


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