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2012.10.31
紅葉狩りへ行こう


 皆さん、自然に触れる機会はありますか?住んでいる土地にもよると思いますが、年々自然との関わりは薄くなっているように思います。
 秋の自然美といえば、真っ先に思い浮かぶのは紅葉(黄葉もありますが、以下両方を指す場合は紅葉で統一させてもらいます)です。紅葉は9月の中盤から北海道・東北で見られるようになり、その後南下していくそうです。モミジやカエデの鮮やかな朱色は目を楽しませてくれるものですし、イチョウの黄色は心を和ませてくれますね。

 ここで、そんな紅葉のメカニズムを簡単に紹介してみます。紅葉と黄葉では仕組みがちょっと違うので、分けて説明しますね。
 まず、黄葉からですが、普通の葉が緑色に見えるのは、クロロフィルという色素が含まれているからです。葉緑素といった方が知っている人は多いかもしれませんね。その他にも黄色のカロチノイドという色素もありますが、クロロフィルの方がカロチノイドより量が多いので、葉は緑色に見えるそうです植物は葉を落とすための準備を始める時、葉柄の付け根に離層という組織がつくられます。物質の行き来はここで妨げられますので、葉の中の物質は茎に移動できなくなり、光合成で生産された糖も葉に留まることになります。クロロフィルを作るために必要な養分も葉に行き渡らなくなるので、緑色が消えてしまいます。そのため、クロロフィルで目立たなかったカロチノイドの色が確認できるようになり、黄色になります。イチョウやポプラなどが当てはまりますね。
 次に紅葉についてですが、紅葉する葉にもイチョウと同じようにカロチノイドは含まれています。では、なぜ黄色と赤色の違いが生まれるかというと、紅葉する葉にはアントシアニンという赤い色素が含まれているからです。離層が出来ることによって、物質の行き来が妨げされるということは既にお話した通りですが、行き来が出来ない状態になりますと葉っぱの水分が葉面から蒸発して細胞液中の糖濃度が上昇します。その状態で日光の光を浴びると、糖から新しい色素が生成されます。それがアントシアニンという赤い色素なので、葉の色も赤くなります。モミジやカエデなどが当てはまります。
 ちなみに、紅葉した葉はクロロフィルがほとんどなくなっているので、緑色の葉と比べると光合成の量もかなり少なくなるそうです。

 

 最後に、今回のタイトルでもある紅葉狩りについても雑学を少々。紅葉を鑑賞する習慣が始まったのは平安時代とされています。平安といえば、貴族達が様々な風流をめでる時代ですよね。この場合の「狩り」というのは狩猟という意味の狩ではなく、「草花を眺めること」を指します。平安時代には眺めるだけではなく、実際に紅葉した木の枝を折って手のひらにのせて鑑賞するという方法もあったそうです。この方法だと、まさに狩りといった感じがします。紅葉狩りの様子は、「万葉集」や「源氏物語」に登場したり、「百人一首」にも登場しています。ここから、日本には古くから紅葉狩りが存在していたということも分かりますよね。もともとは貴族の遊びとされていた紅葉狩りが庶民にも親しまれるようになったのは江戸時代からとのこと。今の私達が紅葉狩りを身近なものとして楽しめるのも、江戸時代に紅葉狩りを広めてくれた人がいたからだと考えるとより感慨深いものがあります。

 日本は世界の中でも珍しい四季がはっきりしている国の一つです。せっかくそのような国に生まれたのですから、四季を楽しめるように、ゆとりがあるような生活を送れるように心がけたいですね。

(コラム*カワセミ)


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