コラム
2012.09.12
日本の世界遺産について
今回は、前回のコラム世界遺産の続編として日本の世界遺産について書いてみたいと思います。
2012年9月現在、日本の世界遺産は16件登録されています。世界遺産を保護するための条約である世界遺産条約は、1972年に採択されました。1975年の発効時の加盟国は20か国あまりでした。日本は1972年の条約採択に賛成しながら、国会での承認は20年後の1992年と承認まで長い年月がかかりました。世界遺産は当初、対象となる文化財が石造りの記念碑的建造物が多かったことから、木造の建築物が中心の日本は評価基準に見合いませんでした。評価基準は年々変化し、木や土の文化も評価されはじめ、日本も加盟国となりました。2012年9月現在日本で登録されている文化遺産12件のうち木造の建築物を伴うものは11件、広島平和記念碑(原爆ドーム)のみがレンガ造りとなっています。原爆ドームは、1915年(大正4)にチェコの建築家ヤン・レツルの設計によって建てられたものです。
文化遺産、自然遺産とはどのようなものを指すのでしょうか。
まず、文化遺産ですが、大前提として文化遺産とは人類が創造したものです。主に建築物・建造物などになります。
次に、自然遺産ですが、ひときわ優れた自然美、地球の歴史を示す顕著な見本、生態系・動植物群の進化・発展、生物多様性などが対象となります。日本の自然遺産には、ひときわ優れた自然美、生態系・動植物群の進化・発展、生物多様性などがあります。ただし、地球の歴史を示す顕著な見本となる遺産が日本にはまだ有りません。
地球の歴史を示す顕著な見本となる遺産と言えば、みなさんよくご存知のアメリカ合衆国の『グランドキャニオン』や『イエローストーン国立公園』、エクアドル共和国の『ガラパゴス諸島』などがあります。地球の歴史とは、地球の歴史の主要段階を示す遺産や、地層や地形だけではなく恐竜や古代生物の化石遺産(骨など)も対象となります。日本には、地球の歴史の主要段階を示す顕著な見本として世界レベルのものがないようです。2011年に登録された『小笠原諸島』は、日本としては世界遺産に推薦する際、地球の歴史を示す顕著な見本となる条件も満たすものとして推薦された遺産候補でした。父島などの海洋性島弧の成長の過程が見られ大陸へと進化するプロセスを示す重要な証拠であると考えられていましたが、比較研究する材料が不足していると判断を下され、世界遺産としては登録されましたが、地球の歴史を示す顕著な見本となる条件の登録基準は認められませんでした。
私が思うに、日本の場合は世界遺産レベルの自然遺産などは海底に眠ってしまっているのではないでしょうか。地上にむき出しになっている部分は狭く細長い国土のみです。日本には、壮大な地球をイメージできるものが少ないようで残念です。
先述の通り、現在日本の世界遺産は16件登録されていおり、その内訳は文化遺産が12件、自然遺産が4件となっています。以下がそのリストとなります。
1 法隆寺地域の仏教建造物群(1993年登録)
2 姫路城(1993年登録)
3 古都京都の文化財(1994年登録)
4 白川郷・五箇山の合掌造り集落(1995年登録)
5 厳島神社(1996年登録)
6 広島平和記念碑(原爆ドーム)(1996年登録)
7 古都奈良の文化財(1998年登録)
8 日光の社寺(1999年登録)
9 琉球王国のグスク及び関連遺産群(2000年登録)
10紀伊山地の霊場と参詣道(2004年登録)
11石銀山遺跡とその文化的景観(2007年登録)
12平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び関連する考古遺跡群-(2011年登録)
13屋久島(1993年登録)
14白神山地(1993年登録)
15知床(2005年登録)
16小笠原諸島(2011年登録)
以上が日本において現在登録されている世界遺産ですが、これに加えて現在申請中の世界遺産候補『富士山』、『武家の古都・鎌倉』が登録されると大変な盛り上がりが期待されます。観光立国をめざし多くの外国人観光客にインパクトを与え、日本に来てもらうためにも世界遺産が増えることは重要だと思います。私は、今後明治以降の近代建築が次々に登録されていくことを期待しています。
(コラム*FPロバ)
2012年9月12日 10:00 AM | カテゴリー: コラム