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2016.10.01
オパール


 10月の誕生石を調べてみたところ『トルマリン』『ローズクォーツ』『オパール』の3種類が出てきました。トルマリンはパワーストーンで有名ですよね。結晶を熱すると電気を帯びることから電気石(でんきせき)と呼ばれているそうです。ローズクォーツは水晶の一種で紅水晶(べにずいしょう)とも呼ばれていて、水晶について調べたことがなかったのでどちらも魅力的だったのですが、2月の誕生石がアメシスト(紫水晶)だったので、今回はとても幻想的なオパールを選んでみました。

 

 オパールの石言葉は「希望、無邪気、潔白」。オパールが歴史に登場するのは、はるか古代ローマ時代。オパールは神の石であり虹色に輝くことから希望を意味し、幸せを招く「天使の石」と呼ばれ、ダイアモンド以上に珍重されたようです。中世になってもヨーロッパの貴族や王族に愛され、中でもビクトリア女王(1819~1901)は常にオパールを身に着けていたと言われるほど、こよなくオパールを愛したとされています。5人の王女に恵まれ、その王女が嫁ぐときも「自分のように幸せな結婚生活に恵まれるように」と希望を託して、素晴らしいオパールをそれぞれに贈ったと言われています。

 

 素敵なお話ですが、みなさまはオパールと聞いてすぐ頭に浮かびますか?私は正直浮かばなかったので、まずはこの写真を御覧下さい。すごく綺麗ですよね。石の中に宇宙が広がっているようです。ではなぜこのような異なる色を生ずるのでしょうか。オパールの性質や特徴について調べていきましょう。  オパールは二酸化珪素(にさんかけいそ、SiO2)と、成分中に10%位の水(H2O)が混ざり合って固まった非結晶質の鉱物です。簡単に言うとおせんべいの袋の中に乾燥剤として入っているシリカ(シリカゲル)やタンスの湿気取りに使われているあの青い小さな粒と同じものからできているのです。びっくりですよね!と言っても、人工的に作り出される工業物のシリカと天然のものは比べものにならないほど価値が違ってきます。天然のものは水中で微小な珪酸球が沈殿し、岩石の隙間などに密に蓄積して数百万年かけ形成され ており、1cmのオパールが作られるのに約500万年の年月がかかるとも言われています。

 

 オパールの虹色や玉虫色に輝く独特の色の変化のことを「プレイ・オブ・カラー(遊色効果)」と呼びます。オパールは大変珍しい非結晶の宝石です。今までにご紹介した4月の誕生石のダイヤモンドや7月のルビーなどは成分となる元素が、化学構造に基づいてしっかりとした結晶を作っている一方、オパールは珪素と水が混じりあって出来た微粒子(つぶ)が集まって形作られているだけで、元素同士が結びついていません。ですので、このつぶが光の干渉を受けて、斑点の色が変わったり、青、緑、赤などカラフルな光を放ち、つぶの大きさ、並び具合、そして規則正しさによりその色合いや、遊色効果の度合が決まってくるようです。

 

 オパールの語源はラテン語で宝石を意味する「opalus」(オパルス)や、ギリシャ語で目を意味する「optimus」(オプティマス)、色の変化を見ることを意味する「opallios」(オパリオス)など諸説あり、このオパリオスは古代インドのサンスクリット語“貴い石”を意味する「upala」(ウパラ)に由来するものだそうです。これらの語源から考慮して古代の人々はオパールのことを『opallios upala』つまり“色の変化する貴い石”として評価したようです。

 

 和名は蛋白石(たんぱくせき)。ゆで卵の白身に似ていたことからきているとのこと。オパールの種類はブラック・ホワイト・レッド(ファイアー)・ブルー(ウォーター)・ボルダーなどがあり、もっとも高い価値として評価されるのがブラックオパールです。どのタイプのオパールでも地色に曇りがなく、遊色効果が鮮やかなものほど価値は高くなっていきます。中でもブラックやボルダーオパールの場合、その浮遊する色により価値に違いが現れ、最も採れにくい赤・オレンジに続いてイエロー、ブルー、紫とされています。ホワイトは淡白色・白色・乳白色など白色をベースとする淡色の明るい地色に遊色物を満ち、レッド(ファイアー)は鮮やかな赤褐色で浮遊効果を持たないものもあります。ブルー(ウォーター)は無色透明から淡い青色をベースに緑・青の遊色効果が現れますが、産出量は多くないとのこと。

 

 主な産地はオーストラリアとメキシコ。オーストラリアは世界シェアの95%を占め、国石にも指定されています。エチオピア、ブラジル、ペルー、インドネシア、アメリカ、ホンジュラス、チェコスロバキア、タンザニアなどでも採掘され、ごく少量ですがハンガリーや日本の福島県でも採れることがありますが、これらは宝石としての価値が低く加工処理をされたものが多く、やはりオーストラリアやメキシコが不動の地位を築いているようです。ちなみに、日本の国石は水晶です。

 

 今回のオパールはお伝えしいことが多すぎて長くなってしまいました。11月の誕生石はトパーズです。日本でもわずかですが産出される宝石のようですので乞うご期待!

(コラム*ミーアキャット)


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