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2016.05.01
エメラルド


 3月からその月の誕生石についてのコラムを書いていますが、5月の誕生石はエメラルドです。今回はエメラルドについて書いてみます。

 エメラルド(英: emerald)は、ベリル(緑柱石)の一種で、強い緑を帯びた宝石です。和名では、翠玉(すいぎょく)、緑玉(りょくぎょく)と呼ばれています。エメラルドの緑は春の新緑を思わせ、5月のイメージに良く似合っていますよね。
 エメラルドの語源はサンスクリット語で「緑色の石」を意味する「スマラカタ」にあります。それが、ギリシャ語で「スマクラグドス」、ラテン語で「スマラグダス」と変化し、さらに「スマラルダス」という俗語に変化、そこからさらに古フランス語で「エスメラルド」に変化し、現在の「エメラルド」と言う呼称になったそうです。語源からの変わり様がすごいですね。

 

 エメラルドの歴史は古く、ダイヤモンド、ルビー、サファイアとともに世界の4大宝石にも数えられています。ギリシャ時代、アリストテレスの弟子テオフラストス(B.C371-287)の「石について」に登場し、これによるとエジプトの紅海に近い砂漠で発見されたそうです。プトレマイオス朝エジプトではクレオパトラも愛用し、好みの大使に与えたと伝えられています。このことから、エメラルドは古代において富と権力の象徴でもあったとされました。ローマ帝国時代のプリニウスの「博物誌」では、ダイヤと真珠に次ぐ、第三位の宝石とされており、皇帝ネロはエメラルド製のモノクル(片眼鏡)を所有していたとの言い伝えもあります。言い伝えだけではなく、ポンペイなどローマ帝国時代の遺跡からはエメラルド製品がよく出土しています。エメラルドは古い歴史を持ちますが、量的に出回るようになったのはアメリカ大陸発見後、新大陸で発見されてからとなっています。
 エメラルドは、サンスクリットの医術では、解毒のほか、下剤、消化を助ける、等の効果があるとされていたそうです。ペルシアやアラビアの聖者たちも、解毒のほか、癲癇を治す、肝臓病やらい病に効くなど万能薬扱いしていたようですが、効果の程は甚だ疑問ですね。また、他にも蛇がエメラルドを凝視すると目が見えなくなるという言い伝えや、エメラルドに未来を予言する力があるとされたり、女性の貞節を守り夫の愛を保つとされていたりするようです。あのきれいな緑色がこのような伝承を作らせたのでしょうか。

 

 エメラルドは酸化ベリリウム、酸化アルミニウム、そしてケイ酸が組み合わされることにより形成されています。エメラルドは初めに書いたようにベリルという鉱物で、不純物を含まない場合、無色でキズが少ない鉱石です。しかし、結晶時にクロムやバナジウムといった不純物を取り込んでしまうと、成長過程で亀裂が生じてしまいます。この時に出来た傷はインクルージョンと呼ばれます。宝石に傷と言うと、いいイメージはないですが、エメラルドの場合はこの傷を生み出す不純物が美しい緑色の要因になっています。また、内部の無数の傷が天然物の指標ともなっているそうです。もちろん傷が少ないものは価値が高く、明るく濃い緑のものが最上級として取り扱われます。また、中には黄緑色をした石などもあり、こちらはエメラルドとして扱われることはほとんどなく、ヘリオドール、グリーンベリルなどと呼ばれ、エメラルドに比べると価値も著しく下がります。発色の仕組みには鉄イオンが関係しており、クロムやバナジウムにより発色するエメラルドとは原理が異なるものなので、別ものと考えていいのでしょうか。これらの石は加熱処理によりアクアマリンへと変色させることができるそうです。
 天然のエメラルドはかなりの傷物も宝石として流通することが認められているため、オイルや樹脂に浸すなどの科学的処理を施して傷を隠したり耐久力を高めたりするようです。そのため、処理が甘い場合はオイルが蒸発しています。また、超音波洗浄器に掛けるとオイルが抜けてしまうこともあるそうです。オイルや樹脂がなくなれば、当然隠れていた傷が目立つようになってしまいます。綺麗にしようとして傷がよく見える状態になってしまったら、ショックを受けてしまいますよね。

 

 エメラルドはモース硬度(ひっかきに対する強さ)では7.5~8でかなり硬い石とされていますが、内部に多数の傷を抱えている結晶の性質上、衝撃には極端に弱く、指輪の台に取り付けるだけで割れることもあるそうで職人泣かせの石とされています。
 基本的に、エメラルドはかけやすい角が少なくなる印象的な色を広く見せるエメラルドカットというカットをされることが多いようですが、透明度が低い場合は丸い山形に整えて光の反射ではなく光沢などを生かすカボション・カットが施されます。エメラルドの中には稀に宝石の表面に猫の目のような光の筋が現れるキャッツアイ効果(シャトヤンシー効果)と呼ばれるエメラルド・キャッツアイや複数の線条(白い光の帯)が出現するスター効果の現れるスターエメラルドが産出されますが、非常に希少とのこと。トラピチェ・エメラルドと呼ばれる均等に放射状に6つに割れた一見スターに見紛う石もあり、こちらも非常に希少だそうです。非常に希少だと言われると、現物を一度見てみたくなりますね。

 

3月から誕生石について調べていますが、比較が出来ますし、少しだけ宝石に詳しくなれた気がして嬉しいものですね。6月の誕生石はパール(真珠)とムーンストーンです。どちらのコラムになるか、楽しみにお待ちいただければ幸いです。

(コラム*カワセミ)

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