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2014.04.12
セマナ・サンタ


 皆さんはキリスト教の祭りに復活祭というものがあることを知っていますか?セマナ・サンタはスペインで一週間に渡り行われる祭りの一つです。聖週間や受難週などと呼ばれるこの期間は、キリストが一度死んで復活した一週間のことを指します。最終日は復活祭となります。英語ではイースター(復活祭当日のみを指す場合もあります)と呼ばれ、こちらの言葉なら知っているという方もいるかもしれませんね。
 キリスト教の行事ということで日本ではあまり馴染みがありませんが、欧米などキリスト教圏には「イースター休暇」というものが存在するそうです。休暇ということで、仕事や学校も休みの祝日なので、この時期の観光地はたくさんの観光客で賑わいます。しかし、イースター=キリストの復活祭なので、キリスト教徒の方にとってはクリスマスよりも大事な伝統行事とされています。
 今回、取り上げたセマナ・サンタは先述した通りスペインの祭りです。カトリック教徒が75%以上を占めるスペインでは、復活祭の意味合いや宗教色が強くなります。さらに、復活祭そのものよりもそれに先立つ1週間、つまりキリストの復活に至るまでの受難や死を含めた聖週間が最も重要になるそうです。

 

 では、セマナ・サンタがどのような意味を持つ祭りなのか簡単に説明します。
 前述したように、この期間は復活祭に先立つ1週間を指します。この日にちは毎年一定ではなく、その年によって日にちが移動していきます。キリストが復活した日(復活祭)は春分の日から数え、最初の満月の次の日曜とされているため、その1週間前の日曜日からセマナ・サンタは始まります。毎年大体3月末から4月下旬頃にあたり、今年2014年は復活祭が4月20日なので、セマナ・サンタは4月13日からとなります。
 この1週間でキリストの身に何が起こったかというと、最初の日曜日に反対派に捕えられて殺されることを覚悟の上で、キリストはエルサレムに乗り込みます。この日を「シュロの日曜日」と呼び、民衆が服やシュロの葉を路上に敷いてキリストを歓迎したことに由来しています。聖書によれば、キリストはその後神殿に行ったりして熱心に人々に教えを説き続けたようです。そして迎えるのが有名な「最後の晩餐」です。キリストが十字架に架けられる前日の木曜日に12人の弟子ととった記念の瞬間で、レオナルド・ダ・ヴィンチを初め、数々の画家がこの様子を描いています。翌日金曜日、弟子の1人ユダの裏切りによって捕えられたキリストは、死刑判決を受け、鞭打たれ、十字架を背負わされ、はりつけにされ亡くなります。しかし、処刑された3日目の日曜日にキリストは蘇ったとされています。これが1週間の出来事であり、セマナ・サンタの伝統行事の登場人物や意味合いを理解するのに大事な一連の流れとなります。この聖週間のことをスペイン語で「セマナ・サンタ」と言い、この期間中はスペイン全国の町や村で行事が行われます。

 

 セマナ・サンタの祭りの際行われる数々の行事は、当然ですが宗教的なものとなっています。特に「プロセシオン」と呼ばれる「聖行列」は圧倒的な神秘的世界観を感じさせるものです。地域ごとに違いはあっても、登場する人物や流れは同じで、この行列への参加はセマナ・サンタで大きな意味を持つそうです。
 行列の主役となるのが、各教会のキリスト像やマリア像が乗った「パソ」というお神輿のようなものです。パソは基本的に男性陣が肩に担ぎ、摺り足で大聖堂まで運びます。この担ぎ手をコスタテロと言い、これに選ばれることは非常に名誉あることだそうです。コスタテロへの参加は信仰心を意味しますので、キリストの苦しみを体現するために裸足で歩く人、足かせや鎖を足に付けるなんていう人もいるとのこと。また、パソの造りは地域(教区教会)ごとに決まっていて、どれも長い伝統を持っています。中には貴重な歴史的文化財になっているものもあります。日本の祭りにも似ているところがあるかもしれません。
 パソを先導する役目を担うのは、ナサレノやペニテンテと呼ばれる巡礼者です。彼らが纏っている衣装はトゥニカと呼ばれます。とがった三角帽子を被って、目の部分以外の全身を覆い地面に着くかと思うほどの長い衣装に縄の腰ひもをつけています。日本人には馴染みのない格好かと思いますが、一度見たら深く印象に残りそうですよね。香炉や旗などを含めた衣装のデザイン、色、紋章などは全て教区ごとに決まっているそうです。
 その他、行列に聖歌隊や鼓笛隊がつく場合、エルサレムの民衆やキリストの弟子たちといった聖書の登場人物が登場する場合もあります。アンダルシア地方では、サエタと呼ばれるフラメンコの様な調子の聖歌が突然歌われる時があり、その時はパソも鼓笛隊の演奏もピタリと止まって独特の静粛な雰囲気が流れるそうです。

 

 各地で行われるセマナ・サンタの中でも特に有名だと言われているのがアンダルシアのセビーリャで、こちらは世界各地から観光客が集まります。他にもたくさん有名な場所はあるそうなので、スペインへの旅行を考えている場合はセマナ・サンタの時期を狙ってみてはいかがでしょうか。

 

(コラム*カワセミ)

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